書籍紹介 デザインへのまなざし
早川 克美『芸術教養シリーズ17 デザインへのまなざし―豊かに生きるための思考術 私たちのデザイン1』2014.04.03, 幻冬舎
まず最初の章がから引き込まれます。
「産業革命は大量生産、大量消費との関係においてデザインを定義づけることに成功しました。そして戦後の高度経済成長はあらゆる産業の効率化を促進したのです。デザインもしかり、土木、建築、インテリア、プロダクト、グラフィックというように細かく職能として分かれ定義されたのです。各々の職のうは専門領域として確立され進化を遂げました・・・・」
歴史的に「デザイン」の定義を俯瞰しながら、現代的な意味でのデザインにアプローチしていく序章は、私にとってはとてもスッキリとさせてくれるものでした。「デザイン」という言葉は日常生活に溶け込みすぎていて、普段はたいして意味も考えずに使いますし、「アート」と「デザイン」をほぼ同じ意味で使っていることに気づかせていただきました。
本書で特におもしろいなと思ったのは、私流に解釈させていただくと”ユーザー中心主義的デザイン手法”と”デザイナー中心主義的デザイン手法”の掛け合いみたいな様子がえかがれており、著者の解説手法が実にユニークで、「定義」が生きもののように動いてみえるところでした。
デザインがもっているそもそもの語源を横目にみながら、様々な場面で「デザイン」と付き合っていきたいものです。ものづくりやコトづくり中心的に担う教科であるならば、本書はぜひとも脇に置いておきたい一冊となることはまちがいありません。
今年度、様々な教科とタイアップして商品とは何か、製品とは?価値とは?といったことをメインテーマにしてプロジェクトを作っていきたいと考えています。
また近年、ビジネス界だけでなく学校教育関係者から注目されている「デザイン思考」というキーワードですが、中高生のためのイベント「MonoCoto Innovation!」という企画が盛り上がりを見せており、ますますこのイベントの発展と、学校教育に対するデザイン思考の深化は言うまでもないことと思われる勢いがあります。来年度にはまたたくさんの人が参加して、デザイン思考を学機会となることを願っています。(沼田)
最後に 本書の著者である早川氏は、京都芸術大学(旧名称 京都造形芸術大学)の教授でもあり、大学のホームページにて 芸術教養講義1の説明をされています。興味深いのでぜひご覧ください。
https://www.kyoto-art.ac.jp/t/course/tenohira/curriculum/01_kyouyou1.php
また、少しまえにGACCOというオンラインコースでも活躍されていました。
JMOOC CAST vol2 なぜ私たちはデザインを学ぶのか