工作体験の向こう側にあるもの
小さな経験が大きな創造をうみだす
どんな道具でも、それには先人達の知恵と工夫と苦労の歴史が詰まっていて、磨かれた道具というのは本当にことさら美しく感じます。
そしてどんな道具でも、それが簡単な道具であっても、使い方を知ったときとか、使えるようになったと実感できるとき、とてもワクワクした気持ちになります。
私は、いつも小さな工作体験であっても、ちょっとした道具であっても「使う体験」を大切しています。生徒のみなさんにはぜひいろいろな本物の体験をしてほしいと望んでいます。
休み時間、「何か作りたい」と言ってやってきてくれる生徒たちがいます。そんな一言を聞くだけで疲れも一気に吹き飛んでしまいます。ヒノキの宝箱、メダルづくり、ミニ黒板、レジンで工作など休み時間に体験できそうなささやかな工作教室を提供しています。生徒のみなさんが、ひたむきに金属を磨いている姿、削っている姿そのものは、授業の風景と同じなのですが、休憩時間にも工作しに来てくれる様子というのは、この上なくうれしいもので、私に元気を与えてくれます。
ものづくりの向こう側を感じることのできる二つの事柄を紹介します。
1つめは自由研究で、本当に試行錯誤しながら「継手」づくりに取り組んできてくれた生徒の作品です。夏休みにもいろいろと相談に来られ書籍を紹介したり、困ったことの相談に乗ってきました。9月に提出してくださったのですが、苦労をしっているだけに自分の作品であるかのように嬉しく思いました。写真にある継手の作品をご覧ください。工作を通して獲得したものは、単に作った喜びとかそういうものだけにはとどまらないと思います。継手の作品の写真は、2年生二宮さんの作品。
2つ目は、学びプロジェクト「本立てを作ろう」の感想です。実感のこもった気づきノートからは、この体験後の未来を感じることができます。小さいけれど確かな経験、それが意欲とか創造力の土台になるんだなとわかります。(沼田)
「ものづくりの楽しさを感じた。自分の使うものを自分で作れる経験は、とても貴重だと思った。発展して、自分で考えて作ってみたい。」(1年Yさん)
「今回の学びプロジェクトでは本棚をつくれて良い経験になりました
「前に木を使って椅子を作ったけれど本立ての方が釘を打てなかった
「ネジを打ち込むのが想像しているよりだいぶ難しかった。」(1年H