ブリッジコンテストの紹介
教員免許講習会でも同志社中学校のブリッジコンテストの授業を紹介します。
教員免許講習ゲストスピーカーとして
毎年、教員免許講習会のゲストスピーカーとして同志社中学校のブリッジ・コンテストの授業実践を全国の先生方に紹介します。兵庫教育大学の教員免許講習のパンフレットに掲載していただいています(P.41参照)。
https://www.hyogo-u.ac.jp/assets/files/2021/03/R3menkyoyoukou.pdf
教員免許講習とは、教員が教員であり続けるための必須の講習会で、教員は10年に一度講義を受けて見識をアップデートする義務があります。これは日本だけでなく他国でも、似たシステムは存在しています。数年前は、フィリピンの国立高校(National Science high school central visayas)にて開かれた、フィリピンの教員免許講習会の講師として同志社中学校の授業実践を紹介させていただきました。
さて、兵庫教育大学の教員免許講習でお話させていただくテーマはブリッジ・コンテストです。ブリッジ・コンテストとは、限られた条件の中で知恵と工夫を凝らして丈夫な構造物を作り、その強度を生徒自身が評価する教育活動です。授業進行や教具・教材の長年培ってきたノウハウをご紹介させていただくつもりでいます。ゲストスピーカーや講師として依頼をいただけることは本当に光栄なことで、私自身の実践の振り返りの機会になっています。そして、その場で国内外問わずいろいろな方との繋がりやご縁をいただけます。このような繋がりがまた新しい授業の創造へとつながっています。
書籍の出版
昨年、技術教育研究会の先生方と一緒に書籍を出版しましたが、その本にも少し紹介させていただきました。『新 技術科の授業を創る:子どもの学びが教師を育てる』
詳細はこちら: https://www.amazon.co.jp/dp/4762030244/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_30VRRKS7RJ5A511GM4KD
生徒は未来からの留学生 〜私たちが直面している課題に一緒に取り組んでいきたい〜
今更ながら、橋、道路、鉄道といった社会資本としてのインフラは、実に奥深く広いものであることを私は実感しています。授業においてはブリッジコンテストの取組にて「橋」を出発点にこそするが、様々な分野に繋がっています。設計の場面での数学的シミュレーション、コンクリートの化学的な開発、不断の試行錯誤を伴う材料研究やより適した工法の選択に関わる地質調査、風や川の流れの調査、生物調査のように、橋の設計や建設は分野の科学や技術と関連しています。加えて日本の橋の機能美など、様々な現実につながっています。橋梁建設のための集会を数多く開きながら住民理解のための活動、建設後にも保守管理の技術が必要になってきます。さらに、老朽化が進むインフラを維持・管理するだけの予算が足りないという課題に直面しています。私たちは真剣に未来の社会資本に向き合わなければならない時期に来ている。守りのテクノロジーの時代がそこにきています。次代を担う生徒たちとともに当事者意識を持って考えていかなければならないと考えます。近年、教科横断的学習やPBL(Project Based Learning)への関心のから巷ではSTEM/STEAM(Science, Technology, Engineering and Mathematics / Science, Technology, Engineering and Applied Mathematics / Science, Technology, Engineering, Art and Mathematics)というキーワードが注目されていますが、技術科で取り組んでいる授業“社会資本を自分ごととしてとらえるブリッジコンテスト”はまさにその的を得ている学びではないかと感じています。
社会資本のあり方を考えれば考えるほど、様々な学問的知識が必要となります。また、思想や哲学的な考え方をより深く理解することも必要です。さらに、ある種の判断の場面ではより多くの思考の引き出しも必要とされます。これからの時代を生きる生徒たちは、膨れ上がる補修予算、老朽化の問題、人口減がもたらす諸問題などに向き合って行かなければならなりません。こうした事態の中にあって、目の前の生徒たちに対して、決まり決まった事柄を一方通行に流し込むような態度、すべての答えを教師が握っているかのような授業はありえません。生徒が直面する未来社会における諸課題とは、私たち世代がすでに知り得ているやり方ではとうてい太刀打ちできないものでしょう。
私は、生徒たちは未来からやってきた留学生であると考えるようにしています。生徒たちがこれから先に生きる社会は、私の世代が再生産されるような社会ではないでしょう。自然と人間の関係によって引き起こされる人類的問題はすでに地球規模のレンジになっています。これまで感じたり培ってきた価値観や方法は当てはまらないでしょう。未来からやってきた留学生に何をしてやることができるのかを共に考える姿勢を持ちたいと思っています。未来を生きる生徒たちと共に探究し学び合い、当事者意識を共有しながら未来社会へアプローチしていきたいです。(沼田)