本物の経験が質の高い問いを生み出す
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ちぎり絵〜思春期〜 宇野さんの研究
3年生の宇野さんはちぎり絵を独学で研究してきた。3年生の自由研究は一味も二味も違う。ちぎり絵を題材に選んでいるが、宇野さんの目的は、授業でも取り組んでいないものを「自分1人でどれく らいのクオリティのものが作れるのか検証」するというものであった。材料のリサーチを丁寧に進め、作品作りに取り掛かるも苦労に苦労を重ねたという。
「折り紙 は厚いので透けにくく、重ねても色が変わらないのでグラデー ションがとても難しかったです。そして、紙を小さくちぎった時 にのりをつけるのがとても難しかったので、何か工夫する必要 があるなと思いました。折り紙は発色がいいので服や髪の毛に 使うのがいいなと思いました。」
と経験者ならではの気づきは本物だ。そしてさらに、
「和紙は使ったことはないですが、 調べた限り色をぼかすのに使うのが良さそうだなと思ったの で、肌、ハイライト、影などに使うのがいいと思いました。 次回リベンジする際は折り紙と和紙をうまく使い分けて作品を 作ってみたいと思います。 」
と、生きた経験から生まれた課題意識は、和紙への関心を引き出している。宇野さんは、作品の質を高めるための問いがあふれいる状態だ。
「でもどんどん重ねることで厚みが出てくる楽し さを知れてよかったなと思います。ちぎり絵について調べてい く中で和紙の種類がたくさんあることや、和紙の歴史、そして ちぎり絵で「日本のゴッホ」とまで呼ばれた偉大な方がいたこ とを知れてとても勉強になりました。芸術の中でも身近にあっ て誰でもできるちぎり絵は簡単なようで奥が深いということを 身をもって知れました。私も山下清さんくらい細かく細かく紙 を扱えるようになりたいです。もっともっと勉強して、練習し たいと思います。」
とふりかえっている。とても素晴らしい研究で、代表にも選ばれているが、何より宇野さんのこれからが楽しみだ。(沼田)
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