ご入学、ご進級おめでとうございます!
同志社中学校の数学(数学Ⅱ)は、「量と数」という単元から始まります。この単元は小学校と中学校をつなぐ分野で、「10進法、n進法」、「素数」、「素因数分解」、「互除法」、「最大公約数(GCD)・最小公倍数(LCM)」「累乗表示」などと合わせて、各国の数え方や数詞、数学史も学びます。
私たちは「いち、に…じゅう、じゅういち…にじゅう」と数えていくので、表記と数え方がどちらも10進法ですね。しかし、これは世界を見るとあたりまえのことではありません。英語で11、12、13…と言ってみましょう。elevenとtwelveが特別な単語であることにお気づきのことと思います。日本でも鉛筆の本数をダースで数えるところに12進法の名残りが残っています。また、フランス語はおそらく20進法や60進法の名残りで97を「60・20・10・7」と発音しています。さらに、ゴルフをご存じの皆さん、長さの単位が10進法でないことにお気づきでしょうか。英語では「インチ(inch)」、「フィート(feet)」、「ヤード(yard)」で長さ(距離)を表しますが、12インチで1フィート、3フィートで1ヤードです。海外の数え方、数詞を知ると、日本はほぼ10進法で統一されていてモノの量がイメージしやすいことに気づきます。関心のある皆さんは、なぜ10進法、12進法、60進法があるのか、日本はなぜほぼ10進法なのか考えて調べてみてください。歴史や文化の学びにもつながります。
「ずかん数字」はこのような世界中の数字や数え方を紹介しています。古代エジプトの数字(ヒエログリフ)やバビロニア文明の楔形(くさびがた)文字は見ているだけでとてもおもしろく不思議です。
1年生の皆さんには新聞1ページに数字がどれだけ載っているかを数えてもらいます。そして、数字がない世界を想像してもらいます。私たちのくらしの中で数字がいかに重要な役割を果たしているのかを実感してほしいのです。
最後に、この本の中の計算を1つ紹介しましょう。エジプト文明のパピルスに載っている分数の表記です。古代エジプトでは3分の2をのぞいて、分子が1の分数(単位分数と言います)しか使われません。そうする理由はまだわかっていないのですが、ある分数を単位分数の和で表すことが求められるのです。例えば、10分の9をエジプト分数(3分の2と、分子が1の分数の和)で表すことを考えてみてください。難しいです。(答え: 9 10= 2 3+ 1 5+ 1 30 )
イラスト、レイアウトもとてもきれいで読んでいて楽しい気分になります。
(数学科 園田毅)