自分の時間を 自分で決める価値 “It is your decision”

生徒たちの遊び心があふれる時間
3Dプリンターなどものづくりができる技術室では、授業で使う予定の風力発電のブレードを触りながら何かを考察している生徒がいたり、外では町のようなキャンパスのメインストリートでお弁当を楽しく食べていたり、芝生の上では学園祭の製作物の出来栄えを確認している姿があったり、バレーボール、鬼ごっこなどさまざまな様子がみられます。
朝の始業前の休み時間、昼の休み時間、そして放課後、一日の学校生活の中で、授業や決められたスケジュールから解放されたこれらの時間は、生徒たちにとってかけがえのない時間です。本来、これらは誰にも拘束されない自由な時間であり、その自由な空間こそが、さまざまな遊びや新しい発見を生み出す源泉であるとともに、時と場所を共有することの意味、本来の意味としての公共をつくりだせる空間だと感じています。
何をするか? ーそれはあなたが決めることです。
iPadでプレゼンか何かの準備をするのもOK. 図書室で読書したり、本を探すのもOK、机に突っ伏してお昼寝するのもOK、カードゲームを楽しむ生徒、ベンチで友達と語らう生徒……。この空間には「自分で決めた過ごし方」があふれているのです。以前、こんな風景ありました。
新しいファイルのパッケージであるナイロン袋がゴミとして教卓にあり、ある生徒たちがそれを膨らませポートボールのようななことを、自分たちでルールを決めて合意のもとでそれをまた変形させ、独自のゲームに発展させていきました。判定やルールはその環境にあわせて自由につくって、自分たちでつくりだすという感じでした。ボール(ナイロン袋)が場外(自分たちがきめた板目)に出たときや、ファウルのときにどう対応するかを、生徒たち自身で話し合って決めていました。今でいう、”探究の授業”(どこかの学校の公開研究会では体育の探究授業でそのようなゲーム開発の内容をやっていたなと思いだしました。)のようでした。それはその日限りの休み時間でしたが、私が感じたことは、自分たちで決めることが自由にできる空間にこそ、生徒自身が主人公となって自分の主張と持ち味を発揮しお互いの出番を提供することでまさに自立心が育まれているのではないかとさえ思いました。
これは、学園祭の生徒会行事にもつながっています。「楽しむとは?」「安全に進めるための段取りは?」「備品はどう調達する?」といった数えきれない問いに、生徒たちは合意形成を通じて答えを出していきます。そこに勝敗はなく、白黒はっきりしない世界だからこそ、「何に価値があるのか」を自ら問い、判断し、行動していくのです。その結果こそ、生徒たちにとっての精一杯の正解なのだと思います。コミュニティをつくる力へとつながっていると感じます。
このように、自由な時間は生徒の自立と協調性を育むだけでなく、他者とともにすごす空間づくりコミットできる本物の時間であると思います。教師が仕込んだ”遊び”は学びに利用されたものであることが多いですが、そう言う遊びではなく、本来は遊びそのものに価値があると思います。自分で自分のすることを決める、自分たちで自分たちののことを決めていく遊びのプロセスの中にこそ、人とつながり、自分を表現し、新しいものを生み出す力につながっている。まさに、遊びは遊びとしての価値を持つのだと思います。(技術科 沼田 和也)
参考)
#1 姉妹校である NUEVA SchoolのKaren Tiegel校長も「遊びながら学ぶ」という記事を書いておられます。
#2 バックステージの緊張感
沼田和也. 2022, October, 6). バックステージの緊張感. 同志社中学校.https://jhs.js.doshisha.ac.jp/manabi/
#3 価値ある生徒会行事
沼田和也. 2023, November, 1). 価値ある生徒会行事. 同志社中学校.https://jhs.js.doshisha.ac.jp/headline/school-festival/
#4 友達の背中を押すことができる行事とは?
沼田和也. 2023, November, 2). 友達の背中を押すことができる行事とは?. 同志社中学校.https://jhs.js.doshisha.ac.jp/headline/authenticschoolevent/


