四季それぞれに変化する学内の自然を中心に紹介してきたシリ╶ズ「なべやんの『学内探訪』」も今回で終了致します。これまでご覧いただいた皆様にはこの場を借りて厚く御礼申し上げます。
振り返ってみれば、2016年の序文<掲載に際して>には次のように記していました。
「日々子どもたちは、自然・芸術・環境・人間・工学の視点で創造された作品群の中で学校生活を送っていると言っても過言ではありません」
9年後の今でもその通りだと思います。例えば、日ごろの生活では全く気づかない季節変化に応じた寒梅の蕾の膨らみに、少し立ち止まり非日常の視点で向き合えさえすれば、眼前に別世界が広がっていることに気づくのです。
この学び舎で3年間学んだひとりひとりの生徒のみなさんにとって、これからの人生の中のふとした何気ないひとときに、学内のあの季節のあの時の、その風景やその場所で繰り広げられた行事の場面の想い出や残響が、このシリーズ『学内探訪』とともに、いつの日か蘇ってくることがあったのなら、私にとっては望外の喜びです。
「深山大沢」(しんざんだいたく)とは、最晩年の新島が学園の理想像として用いた言葉だと言われています。深い山や大きな池のような環境でこそ龍のような立派な人物が生まれる・・・。
この学び舎から巣立っていくみなさんひとりひとりが、粗くも未完成で、漲るエネルギーを備えて、独創的に自らの未来を歩まれることを、心より願ってこのシリーズの最後のことばと致します。
長い間のご愛読ありがとうございました。