立志館3階の南西角に、他私学ではめったに見られない面白い空間があります(写真)。ここには約30枚の「算額絵馬」が飾ってあり、生徒たちも楽しんでいます。
そもそも「算額」は、日本古来の「和算」(ねずみ算や鶴亀算などの算数から代数学・幾何学まで取り上げる日本独自の数学)を額に託すもので、江戸時代から明治時代にかけて流行しました。起源は、江戸初期(1627年)に吉田光由が出版した「塵劫記(じんこうき)」とされています。また、問題を見た瞬間に解ける「一瞥即解(いちべつそっかい)」は、江戸期の和算家関孝和の得意技だったと小説「天地明察」では紹介されています。
本校の生徒が数学の授業で考えた問題を、2013年3月に滋賀県大津市の三井寺金堂に展示しました。これが文政11年(1828年)に1枚奉納されてから184年ぶりの「奉納」ということで新聞紙上でも大きく取り上げられました。それ以来、本校3年生が卒業直前の3月に算額絵馬を作成し、三井寺に掲示されるようになりました。
この算額は、現在、海外でも注目されていて、「SANGAKU」は世界共通語になりつつあり、「数学的主張であると同時に芸術作品」という見方もされています。また、2016年8月には本校と三井寺の算額のとりくみが、韓国KBSテレビで知的好奇心を育む日本の学びの文化として報道され、本校生徒の作成した問題が視聴者に紹介されました。
本校の数学で「和算」を学んだ生徒が、日本の伝統的学びを世界に発信してくれたら、これ以上の喜びはありません。
On the third floor of the Risshikan building we can find about 30 wooden pictures tablets on the wall, each with a Japanese mathematical problem on them. In the past, these tablets were thought to be connected to Japanese mathematics. Each year, 3rd year students at our school write mathematical problems on the tablets and all of these are displayed at Mii Temple in Shiga Prefecture.