歴史を歌にして発表する!
クリティカルな言葉選びが歴史を紐解くワクワク感
歴史の授業において大切なことは、事実を暗記するだけにとどまらない。その背後にある深い意味や繋がりを理解することが重要である。篠原先生の「歴史の歌を作る!」というプロジェクトは、生徒がクリティカルな言葉選びを通じて歴史をより深く理解し、自分たちの言葉で表現するワクワク感を体験することを目的に設計された授業単元の最後のアウトプットだ。歌づくりにおける言葉選びの難しさをイメージしてほしい。
ユーモアの魔法がある瞬間、自分に落ちてきて、突然言葉があふれだすなんてことはめったにない。聴いてほしいターゲットのペルソナを設定し、そこから考えられる親しみやすいKEYや調子を選択し、曲を考える。それをモチーフにして、、紐解きたい歴史事象から主題を選び、言葉を慎重に選びながら、作詞していくのだ。ユーモアや感情を言葉にしつつ、歴史的事象との照合を同時に行わなければ、篠原先生にすぐに見破られてしまう。とてもユニークで、緊張感のある授業だ。
今教育界では、クリティカル・シンキングが盛んに強調されているが、まさにこの言葉選びがそれにあたる。生徒は歴史的事実を吟味し、「内容」を選び出し、それをどのように「表現」するかが問われる。歴史の深い理解と、生徒のユーモアセンスの創造性が発揮される。生徒は、作品を通じて歴史を伝え、この取り組みで得た深い理解と知識・スキルを授業で共有する。「生徒が主人公の学び」がイメージされると言っては言い過ぎだろうか? 加えて、生徒たちのICT機器を使いこなすちからも相当なもので、打ち込み(DTM)でミュージックビデオを作ってくる生徒もいるから驚きだ。
「クリティカルな言葉選びが歴史を紐解くワクワク感」は、生徒が歴史事象の背景をわがものとして使いこなす、新しい表現の形でもある。篠原先生のもとで、歴史を楽しみながら深く学ぶこのプロジェクトにぜひ参加してほしい。(教頭 沼田 和也)
【参考】
【特集】暗記より自由な発想と思考力に重きを置いた歴史授業…同志社
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/support/information/CO036561/20230522-OYT8T50043/