本校では夏の自由研究に力をいれてとりくんでいます。教員全員が10~20名の生徒さんを担当して、研究のテーマ、内容、スケジュールについて、8月前半まで面談をしながら継続的に研究をサポートしています。多くは教員自らが指導を行っていますが、卒業生や外部の専門家からアドバイスを受けるケースもあります。
8月2日(水)午後、自由研究で数学の「フェルマーの最終定理」をテーマに、ご自身で解けるところまで証明をするという中学3年生弘田明幸さんに、本校卒業生である奈須隼大さん(京都大学理学部数学科大学院1回生)がアドバイスをしに来校してくださいました。
弘田さんは2年次に数式(級数)を用いて円周率(近似値)を求める方法を理解し、実際に計算しました。中学生段階で円周率を求める場合、アルキメデスが求めたように円に内接・外接する多角形の周の長さから円周率を求めていくのが一般的です。級数(例えば、ライプニッツの公式)を用いて円周率を求めるには、三角関数、マクローリン展開など高校、大学の数学が必要なのですが、弘田さんはその公式の証明までされたレポートを作成され、中2段階ですでに学習範囲が大学の数学にまで及んでいました。
3年次の自由研究は、1670年に公開され、数多くの著名な数学者の活躍によって1995年にやっと解明されたフェルマーの最終定理です。フェルマーの最終定理は、
「3 以上の自然数 n について、xn + yn = zn となる自然数の組 (x, y, z) は存在しない」
というもので、証明した数学者アンドリュー・ワイルズの論文は100ページを超えます。完全な証明がなされるまでの300年余りの間、3以上の自然数nについて、n=3の場合、4の場合、nが素数の場合など徐々に証明が進んでいきました。今回、弘田さんも夏休みの間に、ご自身で証明できるところまでとりくんでみようということです。
今回、大学院生の奈須さんから、弘田さんの証明のチェックをしてもらうのと合わせて数学的な証明のスキル、数学の世界(大きな分類)についてお話をしていただきました。また、大学(理学部数学科)の学び、大学生活についても教えていただきました。
自由研究は2学期にレポートが作成・提出された後、来年2月に3年生全員による発表会が予定されます。
弘田さんの発表が今から楽しみです。
(数学科 園田毅)