「教科横断」よりも現実世界が先にある
ゼロ・イチの世界って身近にあるんだよ
「数学の授業でも2進数の計算はやっていたよね?」から始まる外村先生の授業である。コンピュータの内部での情報処理を教える導入の日だ。私たちはすでに、文字を打ってメールをやりとりするテキストチャットをいつも使っている。WeChatやKAKAO、LINEなど日常生活のインフラといってよい。しかし、その内部の処理を説明するにあたって、ゼロ・イチやON/OFF、電圧の強弱に意味を持たせる仕組みは重要なのだ。授業では、2進数を使って秘密のメールを送ろうというミッションが課せられ、文字コードを解読していくことが求められるのだ。真剣な表情の生徒たち。「あっ」と気づいたことを隣の人と交換し合う。とてもひきつけられる中身だった。
近年、”教科横断”、”クロスカリキュラム”などのキーワードは教育分野でのトレンドで、それぞれの教科で工業・工学的なことが取り上げられる。コンピューターの世界は、どの教科のものでもなく「教科」がある前に現実世界に存在するものであり、リアルな現実世界にアプローチできているからこそ、人々はひきつけられるのだと思った。外村先生の自然な授業に学んだことである。(沼田)