プログラミングの言語をつくる
安全かつ高速を実現させるトランスコンパイラプログラミング言語”Grid”の開発
C++, Python, JavaScriptなどの言葉を聞いたことがありますでしょうか?これらは、コンピュータで私たちのやりたいことを実現させてくれるプログラミング言語と呼ばれるものです。これらの言葉を使えるようになれば、独自のサービスをつくることが可能になります。コンピュータ自身は2進数の世界で動いていますから、私たち人間の言葉とは違います。コンピュータと私たちを橋渡しする役割を持つもの、それが先ほど上げましたプログラミング言語と言われるものです。多くの人は、このプログラミング言語を使って、ゲームやデータベースを作ったりアプリを作ります。
しかしながら、3年生の辻本さんは、驚くことにそのプログラミング言語をつくるというとんでもないことをしてくださいました。
「僕は、安全かつ高速を実現させるトランスコンパイラプログラミング言語”Grid”を開発していました。自分の好きな文法で高速かつ安全に動く言語が欲しくて、いろんな言語の文法をいくつも覚えるのがいやでプログラミング言語を自作してみたいという気持ちからこの言語をつくりました。」(辻本)と言います。
20年度4月全国の学校が閉じられ、予期しなかったアイソレーションに右往左往していた中、辻本さんは、学校などは飛び越えて、一流の人たちとの繫がりをもとめ、見事国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、総務省が主催する「Sechack 365」のメンバーに選ばれ、1年間通じて大学生に交じってご自身のプロジェクトを進めていかれました。また、定期的にミーティングしてくださるトレーナーも学校の教員なんかとは違って、ものすごい方たち(超一流の方たち)です。中学生でえらばれたのは2名だけだったようで、辻本さんにとってはかけがえのない体験になったことでしょう。
「SecHack365」とは、若手のセキュリティイノベーターを育成するプログラムで、WEBサイトには以下のように説明されています。
「25歳以下の学生や社会人から公募選抜する40名程度の受講生を対象に、サイバーセキュリティに関するソフトウェア開発や研究、実験、発表を一年間継続してモノづくりをする機会を提供する長期ハッカソンです。全国の一流研究者・技術者や受講生等との交流をするなかで、自ら手を動かし、セキュリティに関わるモノづくりができる人材 (セキュリティイノベーター) を育てます。」
ビットコインのインタネットテクノロジーもそうですが、今やサイバーセキュリティ産業の存在はますます重要になっていることを背景にして、「未来のサイバーセキュリティ研究者・起業家の創出に向けて、若手の方を対象に、セキュリティ関連技術の研究・開発を一年間をかけて本格的に指導するプログラム SecHack365 を平成 29 年度から開講」されたとのことです。詳しくはこちら
辻本さんの報告ページをぜひご覧ください。
開発駆動コース(https://sechack365.nict.go.jp/presentation/)
安全に書けるAltC++なプログラミング言語 Grid
世の中には様々なプログラミング言語が乱立しています。それぞれの言語に長所と短所があるので、プログラマは作りたいソフトウェアの種類によって言語を使い分けなくてはいけません。そこでGridは、その煩わしさを解消し、さらにモダンな文法で安全なプログラムを記述できるようにするということを目的に作られた言語です。Gridには、他の言語へのトランスコンパイルや、ミュータブルな変数とイミュータブルな変数を分別するといったような言語機能が備わっています。これにより、他言語の恩恵を受けることや、バグを減少させることができ、高い利便性・速度・安全性の三つを実現させることができると考えています。
辻本 宗一郎
辻本さんのように、学校の中に閉じこもるのではなく一流の方たちが集まるところにアプローチして、自分で課題を見つけて自分で取り組んでいくちからみたいなものが、コロナ禍を通じてますます重要になってきています。辻本さんのような実行力と視野の広さは、私たち教員にこそ必要なちからであると思っています。(沼田)