MY IDEAL HOUSE
コロナ禍で考えた「理想の家」
夏休み明け、佐伯さんはとんでもない建築模型をもってきてくれました。すごい探究活動であることは見ればすぐにわかりました。何度も修正しながらかきあげた図面、デフォルメと細部の表現のバランスのとれた模型、探究の足跡をつづったレポート、どれもすばらしいものでした。佐伯さんは、夏休み前、嬉しいことに何度か質問にきてくれていました。私の理想の家の設計をしたいということを言っておられ、設計図を書けるようになるにはどうしたらいいか、そもそも設計図ってどういうものなのかということに関心をもっておられました。何冊か、建築関係の書籍や図面のドリルノートなどをお渡ししたことを覚えています。
「今年の春、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、多くの国や地域で外出自粛要請があり、多くの人々が自宅で過ごすことを余儀なくされました。実際に自学で過ごす時間が長くなり、改めて『安心できる家』『居心地の良い家』の大切さを感じています。そこで災害やこのような感染拡大防止のために自粛生活においても『居心地がよく、安心できる』家づくりについて考えを深めたいと思いました」
これが佐伯さんの出発点でした。その後、建築図面と実物のイメージづくりのために住宅展示会場に足を運び、様々に工夫して設計されているデザインの読み取りをおこなわれていました。その学びは模型にも生かされていました。学びプロジェクトでの「なんちゃってパース検定講座」にも参加してくださったりしながら、建築にかかわることがらを多角的に学ばれていました。「透視図は、だんだんとやっていくうちに上達していくのを実感しました。紙の上の図なのに、空間を感じられるのは不思議な感覚でした」と述べられています。
「建築模型でもっとも多く使われる材料の『スチレンボード』のことを初めて知り、使ったのですが、最初はまっすぐに切ることさえも難しかったです。・・(中略)・・製作する前の材料集めの段階から難しかったのですが、コツコツと取り組みました。」というコメントからは、実際の体験を通してしかわからないこと、現実のモノを相手にする困難さなどもにも注目しておられます。「取り組み始めた時より、進めて行くにつれていろんなアイデアが出てきました。」という言葉は、いかに佐伯さんが五感を働かせながら模型作りに取り掛かながら、その先にある「人が住むこととは」「今の時代に求められることは何か」などの思考や思想の世界にまでアプローチしていたことが伝わってきます。
同志社中学の見学会などでお越しの際は、ぜひ「MY IDEAL HOUSE」建築模型をご覧ください。(沼田)