プロジェクトを真ん中につながりあう教科
エクササイズ→データロギング→分析→振り返り→行動変容へ
オンライ学習スタイルへスイッチした結果として、分断していた教科学習につながりが見えはじめています。前提として授業には、教科ごとに敷かれた目標や評価の線引きがありますが、それが強すぎると溝のように思えたり、壁に思えたりすることがあります。しかし、今回のオンライン学習スタイルへの転換というミッションの中で、教職員集団の中で研修やお互いがお互いをサポートしあいながら一つのチームとなり、それぞれの教科での教材や授業方法の交流や理解が深くなり、共同のプロジェクトが生まれつつあります。これまでにも、社会科と美術科が共にソーシャルデザインに取り組んだり、技術の授業に理科の教員が授業に参入したり、社会科と美術家と英語科がコラボ企画に取り組んだりはありました。しかし、今回の教員同士の助け合いの中でチーム感をより強く持つことができたおかげで、共通のプロジェクトに取り組むとか、教科で取り扱う題材へのつながりを大切にできるようになりました。(もちろん、こういったプロジェクトや課題を入れやすい科目とそうでない科目もありますから、”コラボ”が絶対的に良いという話をしたいのではありません。)
今回紹介させていただきたいのが、技術科×体育科コラボ課題です。体育の授業では体力維持、健康的な生活をテーマに教材や題材を設定しますし、技術の授業ではメディアリテラシーの一つとしてデータロギングやデータ分析などを教材として設定しています。体育の課題として何らかのエクササイズを各自考えて決めてもらい(例えば、毎日腕立て伏せを行い)、エクササイズとデータロギングは生徒が各家庭で行う。データ分析と可視化は、技術の授業としてノウハウを提供する。データをビジュアル化したものは技術科の成果物として、そしてエクササイズの行動変容や振り返りは体育科の成果物として活用するという具合です。これまで技術の授業では、何かの仮定のもとダミーデータを配布して処理の仕方を教えてきましたが、今回は体育の課題でロギングしたリアルなデータを分析します。体育の授業ではデータの可視化そのものを授業教材として扱うことはなかったのですが、技術科の授業を経たデータ分析をもとに、体育の授業で次の目標設定や自身の行動変容へつなげ、自分の体の健康についての考えを深めるという設計です。
今経産省では、STEAMSといってこれまでのSTEM/STEAMにSportsの「s」をつけた教育に注目されています。ささやかではありますが、そういった最新の国の教育動向にも沿う形で新しい授業への挑戦を続けていきたいと思っています。(沼田)