数学が活躍した歴史を知ろう(映画「イミテーション・ゲーム」のご紹介)
数学が活躍した歴史を知ろう
イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
(原題「The Imitation Game」)
2014年公開のアメリカ映画です。第二次世界大戦中、イギリスの天才数学者アラン・チューリング(Alan Turing 1912-1954)がナチスドイツの暗号「エニグマ」解読に挑戦した物語です。
第二次世界大戦の前半はドイツ軍が優勢で、この状況を変えるために、ドイツ軍の使う暗号「エニグマ」を解読するチームが作られたのです。戦争中、各国はそれぞれ独自の暗号を作り、それを本国から軍隊へ指示を出していました。ちなみに、日本は外務省が使用していた「パープル」と呼ばれていた暗号が有名です。
チューリングは戦後もコンピュータ誕生に関わる重要な成果を残すのですが、彼は、当時のイギリスでは違法だった同性愛者であったため、有罪になってしまいます。彼の業績が広く正しく評価され始めるのは、戦争が終わって20年以上経った1960年代後半のことです。2021年度から発行される新50ポンド紙幣には、彼の肖像が採用されます。
時代背景などいろいろ書きましたが、映画では数学が暗号解読に活躍するドラマを楽しんでもらえたらと思います。
(数学科 園田毅)
<参考文献>
(1)「暗号解読 ― ロゼッタストーンから量子暗号まで」サイモン・シン著、青木薫訳 新潮社・新潮文庫(文庫版は上・下巻)