質の高い問いを持つこと
探究し、発信できる場としての自由研究
今年も3年生の自由研究の発表会が行われた。生徒のみなさんの素晴らしい発表がされていました。ひと昔前の中学校の常識を思えば、このうような空間は想像できないものです。学校で知らされる情報が「新しいものである」と信じられていた時代は、それだけで価値を感じることができました。しかし今では世界がインターネットでつながり、各個人がデバイスを持つことによってより個別最適化された学習活動が展開できるようになった時代には、この光景がスタンダードなのだと認識できます。
他者の発表が面白くどれも聴いてみたいと思える。そんな空間が今日の3年生の教室にはありました。聴かなかったらもったいないと思える素晴らしいものでした。真剣に聴くことができるからこそ、質問が生まれ、その質疑応答によってまた新しい質問が生まれるのです。人は中学生の発表会というかもしれませんが、私にはこれが学会の研究発表大会や全国大会の源となるものであり、同等の価値があるもの、あるいはそれ以上のものではないかと思えるものでした。心の底から湧き上がる矛盾に対する疑問に対して、どうにか解決したいと考えて取り組んだもの、一人でも多くの人につたえたいという願いから出発して心をこめて書かれたレポートやプレゼンは人に勇気を与えてくれます。論文掲載の点数稼ぎではない発表をみれば、本質的には学会を上回る価値を提示しているというものまでありました。すばらしい中学生の発表会だったと思います。
昨年にも本気の10代が世界を変えるというコラムを発信させていただきました。
探究し発信しよう~本気の10代が世界を変える~
インターネットテクノロジーによって、国境も世代も立場も超えて真理を追求していくことが可能になった時代であることを思います。
「そもそも探究的な活動は、年齢や立場、国境を越えて世界をつなげます。」
ちょうど1年前にコラムで紹介させていただいた気象活動家のGreta Thunbergさん。地球温暖化など環境問題に胸を痛めたGretaさんは、15歳にしてCOP24やダボス会議にてスピーチされ、スウェーデンを越えて世界中が彼女のスピーチに耳を傾けるに至っています。私たちが直面している問題は既に国境を越えています。環境問題にかぎらず、災害、病気、宗教、人権、戦争や紛争などその他の問題も、何人だからどうのこうのという問題ではなく、国境や立場、年齢などこえて、地球規模の問題として私たちの前に存在していることに気づかされます。地球規模で物事を考え、足元から行動することの大切さを教えてくれています。等身大の自分の行動が世界を変えるのだと。
1年生の中にも非常に素晴らしい取組をしようとしている生徒がいます。国境なき医師団についてと、フェアトレードについての研究課題に取り組んでいます。両者に共通している中のひとつは、メッセージ性といいますか、研究の向こう側にある”芯”のようなものがあるということだと感じています。「一方的に覚えることだけが勉強じゃない」ということを身をもって私たちに教えてくれる取り組みだと思っています。 ぜひ昨年のコラムもご覧ください。(沼田)
参考)
堀川高校の探求科の発表会はとても素晴らしいです。ぜひ9月には訪問してください。学びプロジェクトとしてもツアーを組む予定です。
自由研究は生徒のみなさんだけでなく教員もやっています。論稿や書籍の執筆をしながら授業研究をやっているまじめな教員が多いです。