「“夏姫”と形容される花は?」と問われて、みなさんはどんな花を思い浮かべますか。
私はやはり夏の高山で出会った高山植物の花々が浮かんできます。特に右のコマクサは「高山植物の女王」と呼ばれていることもあり、“夏姫”の代表ではないでしょうか。
『森の生活』(H.D.ソロ-)という本には印象深い表現が随所に出てきます。
「私はとりわけ羊毛草(wool grass)の、弓なりに反った穀物の束のような先端部分に心をひかれる。それはわれわれの冬の記憶に夏を呼び戻してくれるし…(略)…冬の現象の多くは、いうにいわれぬいたいけなさと、壊れやすい優美さを底に秘めている。われわれはよく、冬の王が不作法で荒々しい暴君のように言われるのを耳にするが、じつは恋するひとのようなやさしさで、夏姫の髪を飾っているのである。」
ソロ-のお気に入りの“羊毛草”に近い植物を学内で探してみるとカヤツリグサの仲間(写真下)が見つかりました。枯れかけて一見みすぼらしい感じでしたが、極寒に耐えている姿がどこか誇らしげにも感じることができました。
冬の自然観察は、他の季節に比べて観察対象が減るようにも思いますが、ひとつひとつの植物を観察するときに“夏の姿”を想起することで、その植物の奥深さにも触れることができるのです。厳冬の自然観察にも是非トライしてみてください。
《写真の植物》コマクサ
(左)コイワカガミ (右)シラネアオイ
(左)トウヤクリンドウ (右)ヤナギラン
What do you imagine when you are asked about a flower that is described as a “Natsuhime”?
I would think of alpine flowers, such as the Dicentra in the photos.
In his book “Walden”, H.D Thoreau writes about Wool Grass and its relationship with the seasons and the Natsuhime. If we look for a plant like Wool Grass at our school, we can find a type of Asian Flatsedge, which manages to stay strong even in the coldest of winter.
It’s often said that winter is not good for observing plants, but thinking about how the plants appear in summer can help us understand the plants more deeply.